起業するならぜひチェックすべきなのが助成金や補助金などの政府による支援策です。
知らなければ1円にもなりませんが、きちんと調べて申請すれば大きな金額の資金補助が受けられます。
ただ、注意しておきたいのがこれらの申請の複雑さです。
マークシートの答えを塗りつぶすような簡単さで申請が通ると思ったら大間違いです。
書類の多さや申請の複雑さや期限など、制約の多さがこうした助成を狭き門にしているのではないでしょうか。
確かに、以前に比べて政府は起業家にさまざまサポートを用意してはいます。
インキュベーションオフィスなどもそのひとつです。
インキュベーションオフィスとは?
インキュベーションオフィスとは、自治体や公的機関が主体となって個人起業家やベンチャー企業の支援を目的に運営されているレンタルオフィスのことで、一般的な物件よりも安価な家賃で入居できることが魅力のひとつになっています。
先日、私の知人が独立資金の融資の相談へ行った時も、インキュベーションオフィスをすすめられたと言っていました。
しかしこの話には続きがあります。
彼の場合は、今まで勤めていた会社からのれん分けのような形で、同じ事業を行う別会社として起業し、その開業資金を金融機関から借り入れする計画を進めていました。
現在は以前働いていた会社を退社しており、手伝いのような形でオフィスに出入りしつつ、起業の準備を進めています。
起業後も業務の一部をこの会社で共同で行う必要があるため、彼のオフィスはこの会社の一角を間借りして行うつもりでした。
しかし、金利補助の相談のために区役所に出向いたとき、指導員から別の住所を用意するようにと言われました。
なぜなら、この会社も区の金利補助の融資を受けていることから、別会社と言えども、同じ所在地では痛くもない腹を探られるので、全く別の住所を用意するようにと指導されたのです。
金融機関に迂回融資ではないか、といった不信感を抱かれないようにするためにも、そうした方がいいとのことだったそうです。
そこで彼は同区内にあるインキュベーションオフィスを調べたところ、すぐ近くに新しい施設が完成していることを知り、早速連絡をしました。
見学を申し出ると、予約はすんなりと取れたのですが、入居を前提としているならば面談が必要だと言われたのです。
よくよく聞いてみると、インキュベーションオフィスは誰でも入居できるわけではなく、申請をして、面談、審査を経て入居の可否が決められるという事実を知りました。
その審査にかかる時間は、実に1か月と聞いて、正直なところ、呆れてしまいました。
支援すると言っておきながら、ふるい落とすことしか考えていないのではないかと思えてしまいます。審査が必要なことは理解できますが、区はもう少しスピード感を持って対応してもらえないものなのでしょうか。
起業家にとって1か月という時間は貴重です。
融資の申請、補助金の申請などのタイミングを考慮して、素早く行動しなければならないときなのに、なぜ審査に1か月もかける必要があるのでしょうか。
なかには入居決定まで2、3か月かかるオフィスもあるとか。
スピードが命のベンチャーにとって、このような呑気すぎる時間軸には、まったくイライラとさせられますが、こちらが合わせて耐えるしかありません。
審査の時間も含めた余裕をもったスケジューリングが大切
起業を検討している人のほとんどが、こうした「審査」にかかる時間を見落としています。
そのため、事業が軌道に乗るまでに、予定以上に時間がかかってしまい、資金と時間と気力を浪費してしまいがちなのです。
政府系の支援を検討している方は、ぜひこのようなスケジュール感に注意して行動することをおすすめします。