――個人事業主は認知度が低い――
会社の看板や肩書がない個人事業主の壁になりやすいポイントの一つに「認知度が低い・またはない」が挙げられます。大きな企業のように広告や宣伝の費用をかけることはできないので、費用対効果が高い戦略を編み出したいところです。
そこで試したいのが「セルフブランディング」です。個人事業主としてどのように自分のブランド力を高めるかを考え、顧客に“自分の姿”や“事業のイメージ”を伝える取り組みを行うことで、認知度を高めることが可能です。さらに将来的には顧客の購買行動にまで繋がることが期待できるでしょう。
この記事では個人事業主たちが実際に行った「セルフブランディング」の情報収集の手段や、力を入れて考えたポイント・実践した取り組みなどを紹介し、セルフブランディングを実践するための具体的なノウハウを解説します。顧客からの認知度を高めたい方やセルフブランディングについて考えたことが無い方は必見です。
まずは「参考になる情報集め」を始める
いきなり「自分はこういう人間です!」と自信を持って言える人は少ないのではないでしょうか。セルフブランディングでは “自分のあるべき方向を見つけて確立する”までの苦労が多いです。
目指すべき“自分の姿”や“事業のイメージ”を作り上げるために、まずは「参考になる情報探し」から始めましょう。
ここで、実際に個人事業主たちがセルフブランディングをする上で参考にした情報を紹介します。
【アンケート】セルフブランディングに取り組む際に参考にした情報は?
1位:インターネット・・・31%
2位:知人・友人・・・26%
3位:セミナー・・・15%
4位:書籍・・・12%
5位:同業他社・・・10%
6位:異業種他社・・・5%
7位:その他・・・1%
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・調査対象:セルフブランディング経験がある20~60代の個人事業主
・調査数:100人
・調査方法:インターネットリサーチ
・調査時期:2017年10月
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1位:インターネット・・・31%
・インターネット上でお付き合いしている方が何かと頭に浮かぶ事が多いので、どのように存在感を高めているのか考えてみた。(岐阜県・35歳・男性)
・SNSやインスタグラムなのでフォロワーが多い人などの記事や画像を参考にしました。(山梨県・36歳・女性)
・SNS等を通して色々な人のブランディングを参考にできるので。(奈良県・41歳・男性)
「インターネットやSNSを通して参考にしたくなる魅力的な人物を探した」という声が多くみられました。 |
2位:知人・友人・・・26%
・個人的な能力を売りとして活動するに当たって、魅力的に見える同業者の在り方を真似させてもらいました。(愛知県・37歳・男性)
・友人にライターとして活動している方が居るので、自分の売り込み方やオリジナル性の出し方を教わった。(岩手県・37歳・男性)
・企業でブランディングデザインを経験した友人に色々と相談をした。(北海道・32歳・女性)
「知人・友人からブランディング経験者を見つける、または教わった・相談した」という声がありました。 |
3位:セミナー・・・15%
・ネットに情報やセルフブランディングがあふれている中で、他とは違う戦略に満ちたブランディングに取り組みたかったため。(千葉県・47歳・女性)
・自分だけで得られる知識だけでは足りない気がして心配だったからセミナーに参加した。(福岡県・31歳・女性)
・現場でしか配られない資料が手に入れられた上に、その都度質問できるため。(滋賀県・36歳・女性)
「セミナーの現場だけでしか得られない貴重な情報を手に入れた」という声がありました。 |
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⑥ノウハウが詰まった資料を手に入れる
⑦セミナーの講師に質問する
まずは無料で手に入る情報収集から始め、知人や友人などの人脈がある場合はコミュニケーションを取りながらさらに情報を集め、より理解を深めたい分野が見つかったときはセミナーに足を運んでみる…という手段をとると良いでしょう。
セルフブランディングで力を入れて考えるべきポイントとは?
情報収集は終わったものの、次に何を考えればいいかわからない…。「あれだけ考えたのに時間のムダだった!」とならないためにも、押さえておきたいことが「何に力を入れて考えるべきか」についてです。
ここで、経験者が力を入れて考えたポイントを見てみましょう。
【アンケート】セルフブランディングで力を入れて考えたポイントは?
1位:自身の「売り」になるポイントの設定・・・47%
2位:ターゲットの絞り込み・・・33%
3位:端的に強みを伝達する方法の検討・・・18%
4位:その他・・・2%
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・調査対象:セルフブランディング経験がある20~60代の個人事業主
・調査数:100人
・調査方法:インターネットリサーチ
・調査時期:2017年10月
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1位:自身の「売り」になるポイントの設定・・・47%
・自分の提供できるサービスが他社とどう違うのか、何をプラスアルファとして顧客に提供できるのか、が一番大切なポイントだと思えたので。(神奈川県・42歳・男性)
・自分の「売り」をどうやって客観的に捉え、第三者にアピールするのか?これが一番難しく気付かないので知人に相談しました。(兵庫県・59歳・男性)
・自分自身の売りが何なのかを明確にしなければ、相手に効果的に伝えられないと考えたからです。(埼玉県・27歳・男性)
「自分の『売り』を効果的にアピールするために、客観的に考えた」という声が多くありました。 |
2位:ターゲットの絞り込み・・・33%
・例えば年齢による色・柄の好み、素材の好み、価格帯、販売ツール等ターゲットを絞り込んだ。(愛媛県・58歳・男性)
・セルフブランディングを行う前は、いろんな世代に受ける内容が多かったので、ある一定世代にターゲットを絞る方法に変更しました。(鹿児島県・34歳・男性)
・どのような人に読んでもらいたいかというのを重点的に考えた結果ターゲットを絞り込む方が効率的だという考えに至った。(神奈川県・21歳・女性)
「効率良くターゲットにリーチするために、対象をしっかり絞り込むことを考えた」という声がありました。 |
3位:端的に強みを伝達する方法の検討・・・18%
・自分をブランディングする為には多くの人に知っていただく必要があるので、伝達する方法の検討が重要です。(愛知県・46歳・女性)
・知って覚えてもらうため、インパクトを与えることに力を入れました。(京都府・35歳・男性)
・人の目にとまりそうな表現や方法が一番大切だと感じたから。(三重県・37歳・女性)
「多くの人に知ってもらうためインパクトを与える方法を考えた」という声がありました。 |
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このタイミングでは、主に自分とターゲットを客観的に見つめて分析することに力を入れます。
◆自己分析
・自分と他社の違いは?
・“自分”や“自分の事業”のアピールポイントは?
・第三者に伝わりやすい“自分”や“自分の事業”のアピール方法は?
◆ターゲット分析
・ターゲットに対してやるべきことは?
・ターゲットに発信すべき情報は?
・ターゲットにインパクトを与える方法は?
自分を見つめて自己分析をすることで、セルフブランディングを実践するときに効果を高めるポイントを整理し、強みやアピールポイントを明確化します。併せてターゲット分析も行い、「数を打てば当たる」という方法ではなく、戦略的に成功率を高めることを考えます。ここで考えたことは次項の実践で活かします。
いざ実践!経験者はどんなセルフブランディングの取り組みをした?
自分とターゲットのことはしっかり考えた!次はいよいよ実践です。
いざセルフブランディングを実践することになったら、どのような取り組みをすればよいのでしょうか。先述したとおり個人事業主はあまり費用をかけられないことも多いので、ここはインターネットを活用したいところです。
経験者がセルフブランディングのために実施した具体的な取り組みを参考にしてみましょう。
【アンケート】セルフブランディングで実施した具体的な取り組みは?(複数選択可)
1位:ホームページの作成及び内容の充実・・・44人
2位:SNSでの双方向交流・・・38人
3位:キャッチコピーの作成・・・35人
4位:値段設定、サービスや品の供給量のセーブ・・・6人
5位:その他・・・2人
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・調査対象:セルフブランディング経験がある20~60代の個人事業主
・調査数:100人
・調査方法:インターネットリサーチ
・調査時期:2017年10月
1位:ホームページの作成及び内容の充実・・・44人
・最初に、自身をよく知ってもらうためのホームページを作成しました。無料ブログでは広告があって重くなるので、家電量販店で売っていた作成ソフトを利用しています。(群馬県・39歳・男性)
・まずベースとなるホームページを作り、そこを基点として少しずつ情報を伝達・拡散していくことが重要だと思ったので。(神奈川県・42歳・男性)
・ホームページを立ち上げて、そこに職歴や資格などを記載してアピールしました。(三重県・53歳・男性)
2位:SNSでの双方向交流・・・38%
・SNSの時代で情報発信は欠かせなく、一方的な情報発信でなくアンケートやポイント付与等によりツイッター、ライン、メールによって相互情報交換をしている。(愛媛県・58歳・男性)
・SNSなどで幅広く自分をアピールすることが出来ます。積極的に多くの人と交流をするようにしました。(愛知県・46歳・女性)
・横のつながりを確保してから広い層に向かっていくのが参考にしたモデルのやり方だった。(秋田県・42歳・女性)
3位:キャッチコピーの作成・・・35%
・多くの人の目に触れるキャッチコピーがまず必要であると考えました。そこから興味の入り口としてもらえれば良いと考えました。(埼玉県・44歳・男性)
・つい思い出してしまうようなきっかけがあれば、また思い出してもらえてブランド価値が高められるため。(滋賀県・36歳・女性)
・数ある情報の中で、埋もれないためにも人目を惹くキャッチコピーが一番大切だから。(山梨県・36歳・女性)
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まずは、このアンケート結果で最も多く選ばれたセルフブランディングの基点となるような、自身の強みがわかるホームページを作成しましょう。しっかり力を入れて考えた自分の売りになるポイントが、サイト全体から伝わるようにします。また、持っているスキルや職歴・実績などの具体的な強みも充実させて、絞り込んだターゲットに、自分のことを強く覚えてもらえるような工夫をします。
インターネット活用のモデルケースの一つとして「SNSで人気が集まっているアカウントを研究してから自身の強みがわかるホームページを製作し、さらにリアルタイムの情報提供のためにSNSアカウントを開設する」という方法があります。ユーザーとのコミュニケーションが重要な時代ですから、双方向で交流ができるSNSアカウントがあると強みになります。
情報過多の時代なので、人の目に止まるキャッチコピーを考えておくことも大切です。自分のことが通りすがりのユーザーの記憶にも残せるように伝える言葉を工夫します。
セルフブランディングを成功させるコツとして“みんなに好かれようとしない”という考え方があります。大勢に良い印象を与えようとするあまり、狙いが定まらず誰にも魅力を感じてもらえない結果になると失敗してしまいます。絞り込んだターゲットに向けて、質が高い情報を発信しなければいけないということを忘れないようにしましょう。
いかがでしたか?まだ試したことがない方は、ぜひ戦略的なセルフブランディングを実践してみてください。