起業にあたってクリアしなくてはならない課題は数多くありますが、なかでもクライアント(顧客)獲得はビジネスを継続・成長させるうえで絶対に欠かせない項目のひとつです。どのような業種の場合にも、クライアントが見つからなくては売上を立てることはできません。
今回は、そんな新規クライアント獲得のための手法についてまとめていきます。
起業時のクライアント獲得手法8選
現在のクライアント獲得手法はインターネットを用いたものが多いです。しかし、直接のコミュニケーションやマスメディア利用ももちろん効果的です。以下、クライアント獲得手法を難易度順に8つご紹介します。
自社ホームページを開設する(難易度:★☆☆☆☆)
かなり手軽かつ効率的な集客方法のひとつとして、ホームページの開設があります。BtoB、BtoC、さらには業種にかかわらず、現在はほとんどの企業が取り組んでいる施策です。しかし、
「自分にはHTMLやCSSなんてわからない」
という方もいらっしゃるでしょう。最近では、テンプレートを使って本格的なホームページが作れるCMSという仕組みがあります。これを利用すれば、ノンプログラマーであっても簡単に自社サイトをインターネット上へ公開できるでしょう。
ただし、単にホームページを開設しただけではクライアント獲得には結びつきません。その理由のひとつがSEOです。どのような優れた商品・サービスも、必要な人へ情報が伝わっていなければ意味がありませんので、ユーザーが特定のキーワードで検索した際に、検索結果ページで上位に表示されるようSEO対策を行う必要があります。
同時に、ホームページを訪れた人に商品・サービスの魅力が伝わらなくては成果につながりません。そこで、セールスページの文章を精査したり、お得な耳より情報を発信するコーナーを設けるといった施策が必要です。コンテンツの充実はSEO対策にもつながるため、サイトの定期的なブラッシュアップに努めましょう。
SNS広告を利用する(難易度:★★☆☆☆)
自社ホームページへのアクセスを集める方法は、検索流入だけではありません。ネット上の広告を利用するのも効果的な施策です。そのなかでも、近年とくに注目されているのがSNS広告です。これはFacebookやInstagram、TwitterといったSNSに配信される広告で、出稿自体は非常に簡単。さらに、マス広告や看板などの広告に比べると低コストではじめられます。
また、アカウント取得のコストもかかりませんので、それぞれのSNS上で企業アカウントを開設し、ユーザーとのコミュニケーションの場を作るのもおすすめの手法です。ただし、アカウントがアクティブな状態を保てないと企業の活動が停止しているようにも見えてしまうため、ご自身のリソースや担当者の人件費などを加味する必要があります。
とは言え、SNS活用の有効性はやはり高く、メリットは大きいと言えるでしょう。媒体にもよりますが、業種や商材にかかわらず活用できるので、ホームページ開設と併せて考えるようにしてください。
ダイレクトメールを送信する(難易度:★★☆☆☆)
SNSマーケティング以前まで主流だった集客方法のひとつ、ダイレクトメール。利用する場面は減りつつあるものの、現在も有用性が失われたわけではありません。メーリングリストさえできてしまえば配信自体は非常に簡単。メルマガスタンドという配信ツールを使えば、開封率などを踏まえた検証も行えます。コストはかかるものの、ターゲティングの精度を向上するには有効と言えるでしょう。
なお、ダイレクトメール施策は幅広い業種において活用可能ですが、BtoCの場合、コミュニケーションツールがLINEへと移行した若年層にはマッチしない可能性が高いと言えます。一方、仕事で毎日メールを読むビジネスパーソンがターゲットとなるBtoBの場合には、開封される確率も高く有用な施策と考えられます。
個人的な人脈や紹介を活用する(難易度:★★★☆☆)
自身の人脈を生かして顧客を獲得し、そのつながりでさらなる顧客の紹介を受けるというのはビジネスにおいて理想的な形です。コストがかからないのはもちろん、誰かを介している分、信頼関係を築きやすいのが特徴。起業したての頃は、前職の知り合いやクライアントなどの伝手を頼ってばかりだったという社長も少なくないでしょう。
ただし、人脈・紹介の活用は同業界でなくては成り立たないケースも多く、起業した業種によっては難しいこともあります。また、「紹介者の顔を潰せない」ということで、余分なプレッシャーを感じることもあるでしょう。
なお、こちらの施策を実施できる業種は幅広いですが、特にBtoBサービスを提供している企業での活用に向いています。
展示会や異業種交流会に参加する(難易度:★★★☆☆)
同業他社が集まる展示会や、金融機関、各種団体が開催する異業種交流会への参加は、顧客に直接アピールできるまたとないチャンスです。参加自体も簡単ですし、費用もそこまでかかりません。とくに、実際に見てもらわないとその魅力が伝わらない商品やサービスを販売する会社にとってはぜひ活用したいところでしょう。
しかし、相手に「興味がわいた」「取引がしたい」という気持ちを持ってもらうためには、魅力的なセールストークやプレゼンテーションが必要です。もちろん、商品やサービス自体に価値がなければ顧客の心を掴むことはできません。そういう意味で、ニーズだけでなくシーズを掘り起こすような提案・アイデアも必要になるはずです。
インターネット広告を活用する(難易度:★★★☆☆)
SNS広告の項目でも触れたとおり、ホームページへのアクセスを集めるためには広告の利用が有効です。まずはリスティング広告を活用してみましょう。別途、魅力的なランディングページを作成する必要はありますが、こちらの施策も比較的安価に実施できます。また、一度訪問したユーザーに対して再訪を促すリターゲティング広告も効果的です。
ただし、こうしたインターネット広告施策は、マーケティングはもちろん、アドネットワークなど専門的な知識が求められます。ご自身で勉強して習得することも可能ですが、難しい場合には専門家への依頼が必要です。そうなると、結果的にコストがかかるという点に留意する必要があります。
なお、インターネット広告はターゲティングさえしっかりできていればすべての業種のビジネスにおいて活用できます。ネットユーザーの年齢層も拡がってきているため、クライアント獲得にぜひ活用してみましょう。
テレビ・ラジオ・雑誌などの広告媒体を利用する (難易度:★★★★☆)
いわゆるマスメディアへの広告出稿の魅力は、その影響力の大きさです。これまでに紹介してきた施策のなかで、もっとも大量の人にアピールを行える手法です。訴求できる分母が大きくなるわけですから、当然クライアント獲得にもつながるでしょう。とくに、BtoC向けビジネスでは大きな効果が期待できます。
一方で、広告代理店を通じたメディアへの出稿には莫大な広告費がかかります。とくに、テレビCMなどには数千万円から場合によっては数億円というコストが必要になるため、起業したばかりの会社にとっては現実的ではありません。雑誌などはある程度費用を抑えられますが、その分、規模は小さくなります。よって業界誌など、ターゲットが読むであろう媒体に狙いを定めるといった戦略も立てるようにしてください。この場合は、BtoBであっても効果が期待できます。
無料セミナー・講演会を開催する (難易度:★★★★★)
無料セミナーや講演会を開催して人を集め、そこで自社の商品・サービスのPRを行うという手法です。会場に足を運んでいる時点で見込み客としての確度は高く、BtoBの場合は業種も近しいものと考えられます。さらにセミナー・講演会でアピールも行えるので効率は非常に良いでしょう。
一方で、セミナー・講演会の開催にはコストもかかりますし、何より参加者が集まるかどうかが問題です。とくにBtoCの場合には、広告などが必要となる可能性も高いです。起業家自身にネームバリューがあれば実現は難しくありませんが、そうでない場合は開催自体が困難になる可能性も考慮しておきましょう。
まとめ
今回は、難易度順にクライアント獲得手法をご紹介しました。第一歩として、ホームページ開設は必須です。そのうえで、広告や人脈の活用などを進めるようにしましょう。
なお、それぞれの手法にはメリット・デメリットがあり、当然ですが何を選ぶかによって効果は変わります。とくにポイントとなるのは、難易度とコスト、効果のバランスでしょう。どの手法を選択するか迷った際には、第一に自社の本業と強み、そしてターゲットを明確化することからはじめてください。そのうえで、もっとも高い効果が得られるであろう施策を絞り込んでいくことが、効率的なクライアント獲得につながるでしょう。