ある年の倒産した企業の財務データの分析結果によりますと、なんと倒産した企業の55.3%だけが赤字を理由とする倒産でした。
つまり、残りは黒字であるにも関わらず倒産しているのが現実のようです。
えっ!と思いましたか。
でもこれが日本の会社経営における現状なのです。
この現実を直視できなかったオーナーの心中はどんなものだったのでしょうか。
「まっ、今月も黒字。順調順調」そう思っていた矢先に、突然の倒産。
「なぜ?どうして?先月も黒字。今月も黒字じゃないか。どこか間違っているだろう?!」と、おっしゃっていることでしょうね。
キャッシュフロー経営をしていないと、これが現実になってしまう日は、それほど遠くないのです。
その日が来る前に、一日も早くキャッシュフロー経営を意識した健全な起業経営の在り方をおさえておきましょう。
キャッシュフロー経営とは何か
まずキャッシュフロー経営について考えるためには、黒字倒産のからくりについて、理解しておく必要があります。
倒産とは何ですか?
明確な定義があるわけではないのですが、個人や法人などの経済主体が、経済的に破綻状態となり、弁済期において、その債務を弁済できなくなり、自己資金でも借入もできず、経済活動を続けることが不可能になる状態を指します。
簡単に言うと、お金が払えない状態ですね。
しかし、不思議なことに、黒字の企業にもこれが生じているのです。
なぜでしょうか。その要因の一つはこうです。
すべて売掛で、仕入代金の支払期日は翌月です。
売上金の回収日は3ヶ月先です。
どうなるでしょう。
自己資金もなく、銀行も貸付してくれないなら、売上は上がっていて会計上は黒字でも倒産なのです。
これが現実に起きています。
そこで必要になるのがキャッシュフロー経営です。
つまり、入ってくる実際の現金と出て行く現金を正確に把握して、現金がなくならなって支払ができないということがないように経営していくことです。
では実際にどのようにすればよいのでしょうか。
キャッシュフロー経営の仕方
簡単に言うと、仕入代金の支払をできるだけ先に延ばすことと、売上代金を早く入金してもらうようにすることです。
加えて、無駄な投資と過剰な仕入に注意します。
それを繰り返すことで、黒字倒産を防いでいくのです。
この世の中には、キャッシュフロー計算書なるものが数多く存在するようになりました。
それらを活用しながら、現金全体の流れを把握することが何より重要といえますね。
昔と違って、現在は借入の際、金融機関も会社のキャッシュフローの状態を確認します。
高度成長期には、土地や株を担保にすれば、銀行はどんどんお金を貸してくれましたが、今はそのような時代ではありません。
キャッシュフロー経営という考え方は、起業家が必ず意識すべき方法です。