開業してからたった5年未満で倒産するが急増しています。一体なぜこれほどの短期間で会社が倒産してしまうのでしょうか? 実は、5年未満で倒産する企業の社長には、共通している性格や特徴があるようです。
これから開業を目指している方は、「会社を倒産させる社長の“あるある”」から、起業してすぐに会社を倒産させる社長の性格や特徴について知り、経営者として求められる資質や意識について理解しておきましょう。
開業後5年未満で倒産してしまう企業の社長に共通する性格や特徴あるある10選
プライドが高く見栄っ張りで体裁ばかり気にしている
そもそも起業をして「自分の会社」を作りたいと考える人の中には、見栄っ張りな性格の人やプライドが高い性格の人が、一定数存在しています。事業の成功という本質よりも表面的な体裁を重視すると、企業の倒産を招くため注意しましょう。
たとえば、ほかの社長さんとの付き合いで少しでも自分を良く見せようとして、必要以上に羽振りがよく振る舞ったり、あえて高価なものを身に着けたりするような社長は、やや危険です。このような社長は、経営においても見栄を張りたがります。
他人より勝っているように見せたいという欲望には際限がないため、結果として無駄遣いが増えて浪費に走るでしょう。この手の社長は詐欺師にも狙われやすく、おだてられて調子に乗ったところで、大切な事業を破綻させられかねません。
責任転嫁や言い訳ばかりうまくなり反省しない
自分にとって何か不都合なことがあると、すぐに他人のせいにして責任転嫁をしたり、言い訳をしたりする癖がある社長がいます。そんな社長は、自分自身を成長させる機会を失っていることに気づきません。
事業が経営不振に陥ったときも、いつもと同じように責任転嫁や言い訳を繰り返します。たとえ真の原因が社長自身の手腕の無さにあったとしても、その原因を分析せずに放置しているため、いつまで経っても問題を解決できないのです。
やがて事業は同じような問題に何度も直面します。しかし、その度に社長は何度も同じ過ちを繰り返し、解決できなかった問題が山積みになります。結果として事業が倒産しても、まだ社長は反省しないのかもしれません。
頼まれたら「NO」と言えない
「優しい人」と「お人好し」は似て非なるものです。特に、事業の成功をかけて常に適切な判断を下す立場にある社長は、時にはハッキリと「NO」を言えなくてはなりません。決断力や判断力に欠けるお人好しな社長は、事業の失敗を招きます。
「NO」を言えない社長は他人のペースに巻き込まれやすく、事業にとって大事な時間やお金などのリソースを無駄にします。人から頼まれたらつい人助けをしてしまいますが、結局はその行動が相手の成長を妨げるので、誰のためにもなりません。事業にとって重要な決定を下すとき、このようなお人好しが裏目に出ると、誤った方向へ進んでしまうおそれがあります。結果として、事業を倒産させるかもしれません。経営者の資質として、決断力や判断力は不可欠です。
公私混同してしまう
会社をまるで私物であるかのように扱い、平然と公私混同をしている社長には注意が必要です。このような社長は、会社の資金を自分の資金と思い込んだり、従業員を使用人と思い込んだりと、さまざまな勘違いをしてしまいます。
会社を支える従業員は、社長の使用人になるために就職したわけではありません。優秀な人材ほど、公私混同している社長に見切りをつけて、早々に転職して会社を離れてしまうでしょう。その先に待ち受けているのは、深刻な人材不足です。
公私混同している社長は、従業員からの不信感が高まることで、結果として経営に必要な資源を失っているのに気づきません。そんな会社は優秀な人材を確保できず、既存の従業員が徐々に離れ、着実に倒産へと至ります。
付き合い下手で仲間がいない
事業を成功させている社長は、自分の身の回りで上手にビジネスチャンスを手に入れています。付き合い上手で豊富な人脈を持つ社長ほど、新規顧客や頼りになるビジネスパートナーと出会うチャンスが、身近に多く集まるのです。
その反対に、付き合い下手で仲間がいない社長は、経営者仲間と知り合うことがありません。面倒だからといって人付き合いをおろそかにしているため、交流を広げれば手に入れられるはずのビジネスチャンスを損失し続けています。そもそも、付き合い下手な社長には人脈をビジネスに生かす発想がないのです。万が一、事業が危険な状況に追い込まれても、誰にも頼れません。こうした孤立が事業の倒産につながることがあります。
専門家のアドバイスや従業員の意見を聞かない
常に自分の意見が正しいと信じ、誰の意見も聞き入れようとしない“ワンマン社長”。たとえ人を惹きつけるカリスマ性があったとしても、このようなワンマン社長にずっとついて行きたいと考える従業員はほとんどいないでしょう。
会社をより良くするために有効な意見は、必ずしも社長にとって都合の良い意見であるとは限りません。専門家のアドバイスや従業員の意見にまったく耳を貸さず、常に自分の意見だけを尊重している社長には注意が必要です。そんな社長の周りには、会社のためを思ってアドバイスや意見を言う人が、しだいに少なくなっていきます。やがて誰も社長に意見を言えなくなると、事業が誤った方向へ進み、倒産という結果に行き着いてしまいます。
奉仕の精神がない
会社が行う事業の目的とは、ターゲットとなるユーザーに商品やサービスなどを提供し、社会に貢献することです。したがって、会社を牽引する存在である経営者にも、社会貢献を実現するための“奉仕の精神”が不可欠といえます。
奉仕の精神が乏しく、自分の利益にだけ目を向けている社長は、事業の最終的な目的である社会貢献への意識が低くなりがちです。一人ひとりのユーザーや社会全体のニーズに鈍感であるため、事業を成立させるのが困難になります。利益を社会に還元する発想のない社長は、そもそも経営者には向いていないといえるでしょう。社会貢献という視点が不足していることから、会社の事業を幅広い視野で捉えられず、事業を倒産させてしまうかもしれません。
率先力・実行力がない
社長が自ら率先して仕事をしている会社では、社長をお手本として自然と従業員が成長します。その反対に、社長が率先して仕事をしない会社では、そんな社長に倣って従業員のモチベーションが下がり、業績もなかなか上がりません。
率先力や実行力のない社長は、自分で仕事をして見せることはありませんが、従業員の仕事には口出しをします。たとえば、他人の企画に文句をつけるときも、自分から改善案を出すことはありません。自分がやるべき仕事を頭では理解していても、実行を先延ばしにしてしまうこともしばしば……。そんな社長の様子を見て、率先して働く従業員が育成されるはずがありません。社内全体の意欲が停滞した結果、事業は倒産へ至ります。
経理が苦手で理解できない
会社の現状を客観的に把握するためには、財務諸表の数字からデータを読み取る必要があります。しかし、社長の中には一定数、数字を苦手という理由から経理の業務を避けてしまう方がいるようです。
経営者として会社の経営を任される立場にあるならば、たとえ苦手だったとしても経理の勉強をして、理解するための努力をしなければなりません。それこそが大切な事業を守る経営者としてあるべき態度だといえます。このように経営に必要な勉強を怠っている社長は、経理のほかにも必要とされるスキルを身に着けずに放置している可能性があります。社長が会社経営に必須の能力を持っていない時点で、それだけ倒産のリスクも高くなるといえるでしょう。
仕事への不満に対する「逃げ」の発想から起業している
起業する時点で“事業の成功”を目標にしている経営者は、起業後も目標へ向かって経営を続けられます。それに対して、“起業すること”そのものを目標にしている社長は、スタートの時点で「逃げ」の発想になっているため注意が必要です。
「逃げ」の発想から起業する社長は、不満が原動力になっています。「今の仕事を辞めたいから起業する」「誰にも縛られず自由に働きたいから起業する」といった目標は、起業した時点で達成されてしまうでしょう。しかし、経営者になればその後も事業を成功させるために数々の課題に立ち向かわなければなりません。初めから“事業の成功”に対する意欲がない社長は、新たな仕事にも不満を見出して「逃げ」に走り、結果として事業を倒産させるリスクがあります。
まとめ
今回は、開業後5年未満で倒産してしまう企業の社長によくある性格や特徴をご紹介しました。経営者もひとりの人間であるため、まったく欠点のない人はいません。自分に思い当たる性格や特徴があれば、改善を目指しましょう。
一企業の経営者として事業を成功させるためには、資金調達をはじめとした入念な起業準備が必要ですが、自分自身の素質を見直してみることも大切です。経営者になる覚悟ができた方は、ぜひ事業の成功を目指して経営に挑んでみてください。