起業する人は、ビジネスでの成功を描き、会社を大きくしようと考えるものです。
実際、会社を設立し、ビジネスがある程度軌道に乗ってきたとき、会社を大きくするか、事業領域を拡大するかなど、様々な検討を行おうとします。
しかし、拡大のタイミングを見誤ると、事業拡大どころか倒産のおそれすら出てきますので、注意が必要です。
リスクを考慮し、慎重に判断を
ビジネスが軌道に乗り、売り上げが順調に伸びたとしても、安易に社員を増やしたり、オフィスを大きくすると、固定費が大きくなるため、経営環境が少し悪化しただけでも、資金繰りが一気に苦しくなることが考えられます。
確かに、ビジネスが順調であれば、事業を大きくすると、その分、売り上げも利益も大きくなり、会社も事業も一気に拡大できる可能性があります。
しかし、たとえビジネスの先行きが順調だと想定できても、社会情勢や経済環境の変化などがあると、大きく影響を受けてしまいかねません。
それらの想定外のリスクもしっかりと考慮した上で、事業をどう運営していくかを考えていくことが非常に重要です。
固定費の拡大のつながるような、人員増や設備投資、社屋拡大などは、慎重に判断するべきです。
大事なことは、会社の規模ではなく、いかに主軸の事業を安定的に運営し、次の事業の種を見つけ出しつつ、小さなビジネスの柱を作りながら、事業のリスクの分散を図るなどして、少しずつ拡大していくことを心がけることが必要です。
地道な努力の積み重ねが重要
また、少しずつ事業の拡大を目論みつつ、足元を見直して、不必要な出張費用や電気代、不必要のOA用品代やコピーリース代など、出費の抑制などにも取り組み、少額でも無駄をなくしていくことも着実に進めていきます。
起業者は、ビジネスを大きくしたい欲求が強い人が多い傾向があるため、地道なリスク分散や費用削減などの取り組みをあまり好まないところがある場合も多いですが、設立したての会社にとって、事業を拡大させていくためには、そういった地道な努力の積み重ねが、最も有効な手段であることを忘れてはいけません。
それらの地道な積み重ねで蓄積された資金を、主軸の事業に投資するなどして、リスクヘッジを取りながらも、一段ずつ事業拡大を図っていくことが、設立間もない会社が事業拡大をしていく数少ない方法になります。
手元の資金に余裕のない状態では、たとえ事業が軌道に乗っても事業拡大を取らないと決めて、事業を拡大するタイミングを待つことができれば、数年後には、着実に事業を拡大し、一回り大きな会社へと発展していることでしょう。