以前から副業というものはありましたが、最近、同じ「ふくぎょう」という発音ですが、漢字が違う「複業」と呼ばれるものが注目を集めています。
では「副業」と「複業」では何が違うのでしょうか。
副業というのは、本業がある人が、別に副収入を得る手段として行うものです。
典型的にはサラリーマンが、ちょっとしたアルバイトをやったり、インターネットでお小遣い稼ぎをしたりするのがそれに当たります。
本業から見れば副業はあくまで補完的な仕事であり、収入源と言えます。
それに対して、複業というのは読んで字のごとく複数の仕事を持つことです。
それらの複数の仕事の中には本業と副業のような意味での差はなく、同じようなウェートを持っていることを前提にしています。
もちろん、複数の仕事の中には報酬的に考えて高い収入が得られるものとそうでないもの、時間的に考えても、多くの時間を費やすものとそうでないものがあります。
そうした差異はあっても、原則的にはどれも並列されるべきものが複業です。
フリーターの方の中には一つのアルバイトだけでは収入が低いため、複数のアルバイトを掛け持ちしているケースがよくあります。
これは形態的に見れば、複業に似ています。
ですが、複業というのは、副業がたくさんあるという感じではなく、本業が複数あるというようにイメージしたらわかりやすいと思います。
かつて日本では就職ではなく、「就社」だと言われるほど、働くことが一つの会社で懸命に働くことを意味していました。
ですから、モーレツ社員、企業戦士などが持てはやされていたわけです。
ですが、これは年功序列や終身雇用といった制度が機能していた時代の話です。
それがとうの昔に失われているにもかかわらず、それを従業員に強要するのはナンセンスでしょう。
そこで生まれたのが、この複業というものです。
今後はこうした就業スタイルを選び取る人も多くなっていくと思われます。