会社を起業する時、どこの市場にどういったビジネス(仕掛け)でどう儲けるか、そういった事業ビジョンは、どこの経営者も必ず考えています。
それが咄嗟の思い付きや、ふとした瞬間のひらめきによるものもあれば、練りに練って絞り出した構想の場合もあると思います。
そういった事業ビジョンにおいて、商品・サービスの内容や、その商品・サービスを通じて、いかに利益をあげるかということを、最も重要な項目と考える経営者が非常に多いと思います。
しかし、商品やサービスは、あくまで事業の目的を果たすための手段であり、利益はそれによって得られた成果であり、事業継続の尺度にはなりますが、決して事業の根本の目的ではありません。
会社の使命は誰かの役に立つこと
企業として事業継続させるために、利潤を追求することは当然のことではありますが、利潤追求を事業の目的にする企業は、必ずや社会から糾弾され、存在することはできなくなります。
それは、企業が、社会の中での人、モノ、カネを回すことによって利益を生み出しているからです。
そのため、企業は、事業を通じて、必ず社会の誰かの役に立たなければならないという使命があります。
この、企業の社会貢献への考え方が、いわゆる経営理念です。
経営理念の有無が会社の明暗を分ける
経営理念がしっかりと社会に対して向いている企業は、何のために事業があるべきかが明確です。
そのため、市場が変化したり、事業状況などが変化しても、経営理念を実践するための最善方法を取るため、事業内容を変更するなどして柔軟に対応していくことができます。
しかし、経営理念がしっかりしていないと、事業の状況が悪くなった場合、次に、何の目的で何に向かっていけばいいかがわからなくなるため、事業はすぐに立ち行かなくなります。
そうならないためにも、会社設立の時に思い描く事業ビジョンは、決して事業の内容や儲け方だけではなく、この会社は、誰のため、何のために存在しているのか、社会に対して、どういうプロセスで貢献していくかという経営理念を明確に設定しなければなりません。
経営理念とは行動指針のようなもの
経営理念というと、なんとなく哲学的なイメージのように、非常に難しく考えがちですが、簡単に言えば、従業員は、何のために仕事をするのか?
どういう基準で判断するのか?
という、会社にとっての絶対的な行動指針のようなものです。
例として、「お客様に、商品を通じて、喜びと感動を与える」など、ごく当たり前の内容でもいいのです。
経営理念を設定することで、社員全員の仕事の指標が、お客様への満足度であるということが明確になり、仕事は、お客様が喜ぶかどうかということで、判断することができるようになります。
会社設立段階では、非常にいろんなプロセスがあるため、経営理念の設定は放置される場合がよく見受けられます。
しかし、長く続く会社や、規模の大きな会社を観察してみることです。
そこには、必ずと言っていいほど、明確な経営理念が存在します。
会社を長く、大きくしていこうと考えているのであれば、経営理念は最重要課題と思って取り組むようにしてください。