起業家、そして起業しようというメンタルを持っている人は、アンテナを色々なところにはっています。
これは感度が高く、いろいろなことに好奇心があり、事業を展開するのにメリットをもたらします。なんといっても、経営資源としての「情報」というのは、見えないにせよとても重要な要素となることが度々あります。
一方で、この「感度の高さ」がデメリットなってしまうケースもたびたびあります。
この場合のデメリットは、ただひたすらにやることが増えていく、という状況を生み出してしまうことです。この「やることリスト増大」に陥ると、本当に大事な仕事がなんなのかよくわからなくなってきます。
やることが増えていくタイミングは、「これは大事」「これは自分のゴール達成に役立つ」と考えて、「やること」にしていくわけです。
もちろん、あなたが達成したい目標がなにかわかりませんが、売上や利益の数値目標をたてているとするならば、製品やサービスのクオリティをあげるのは大事です。そして、集客をするのも大事です。もちろん、集客した見込み客に高い成約率でかってもらうような仕組みも大事です。加えて、買ってもらったお客さんに、再度リピートしてもらえるのも大切です。買った後のお客さんのフォローもきちんとしていくことが必要でしょう。お客さん同士の交流をきちんとふかめられるようなコミュニティ設計も気になりますね。これだけではなくて、1人ではできませんので、外注さんを開拓したり、社内のスタッフを採用していくことも考えないといけません。社内の人間にはきちんと教育をして評価をできる仕組みをもっておかないと継続して良い仕事をしてくれないでしょう。無論、経理とか総務とかそういう会社としての基礎的な機能を効率的にやることも考えておくことです。
これは一般的な内容ですが、たぶん読みにくいと思いますし、読みたくないと思います。
おもいつくままあげても、やまほどあります。それぞれの作業や仕事には、それなりのやり方があったり、「ウマく進めるテクニック」とかも存在します。
経営者としては、できる限り効率的にかつ効果的にすすめたいので、そういう「秘密」「秘訣」みたいなものを知りたいと考えてしまいます。
起業家特有の感度の高さを発揮して、いろいろな「やるべきこと」をみつけてきては、それを導入しようとします。
そうして、あなたの「やることリスト」は今日も項目が増えていくわけです。一日に働ける時間は全然増えないのに、、、。
結局これは、「良さそうな」とをすべてやろうという、非現実的なスタンスが原因です。おそらく、こう言う状況の方にであったら、あなたはこういうアドバイスをするはずです。
「ちょっと、やること多すぎるから整理したら?」
まさにここに集約されると思います。
ただ、問題なのはこの「整理」するための仕組みやルールを多くの起業家がもっていないことです。このルール付けを最初にしておけば、起業家特有の「感度の高さ」(もしかしたら「気の多さ」)はメリットの影響の方が大きくなると思います。
では、どのようにルール作りをしたらいいかというと、それには3つの枠組みがあります。
- 1)数値的な撤退ラインを決めておく
- 2)新規の施策を導入する場合、一個やめる
- 3)定期的な見直しスケジュールを持っておく
です。
1)数値的な撤退ライン
これは単純です。
一定期間で達成すべき売上や利益など数的に把握できる水準を決めておき、それを達成できない場合には撤退するという方法です。
例えば、半年以内に月商50万円をクリアする、半年以内に単月黒字を達成する、などです。いくらに設定するのかは、そのビジネスや採用する施策次第なのでなんともいえませんが、小さすぎる目標値は意味がありません。とは言え、あまりにも大きすぎると全て撤退することになるので、少しのストレッチで達成可能なも数値をあげておきます。
これを達成できなかったらやめる、というだけです。
2)新規の施策を導入する場合、一個やめる
文字通りです。
あたらしいプロジェクトを始める場合、これまでやっていたモノを一個やめるルールです。
何を辞めるべきか、というと
- もうほぼ何もやっていない
- 惰性でやっている
- イヤイヤやっている
のどれかの要素をもっているモノをやめます。おそらく、ある程度事業が進んでくると、これらの要素をもってしまっている仕事なりプロジェクトをかかえているはずです。
もちろん、その売上や利益への貢献具合も検討にいれておくべきですが、本気で新規のプロジェクトを開始するならば、あなたの時間をある程度開放する必要があります。
やめることで、時間ができますので、新規に気合いをいれてむかうことができます。
3)定期的な見直しスケジュールを持っておく
これは、新しい事をやらない場合にも必要です。
とにかく、月に一度や3ヶ月に一度くらいのペース毎に、あなたの打っている施策やビジネスの評価をする時間をもつことです。
毎月◉日とか、1月・4月・7月・10月の第三金曜日、とかの定点観測のスケジュールを確保しておきます。
そこで、数時間から1日かけて、あなたの現状やっていることの洗い出しと、そのパフォーマンスに見直しをします。
多くの経営者が、自分がやっていることの全体像を把握していません。一個一個はわかっているのですが、全部でどれだけの仕事やプロジェクトをやっているのかを見ていません。
そこであえて、時間を取って、全体として自分がなにをやっているのかをきちんと確認する必要があります。
そして、1)や2)のルール付けを実際に運用可能にするためには、全体像のリストが必要です。そして、そのリストの要素ごとに、数値的な検証をするタイミングを強制的に確保しておかないと、ズルズルいってしまいます。
つまり、1)で撤退ルールを決めたつもりになっていても、どのタイミングで検証するのかを明確にしていないので、「まぁ来月もう一回検証しよう」とか言って、先延ばしします。
みんな先延ばし大好きです。
是非、この撤退戦略作りをやってから、新しいことを始めてください。あなたのもっている経営資源は有限ですから。