世の中には、とっても知りたいけれど、聞いちゃいけない質問というのが時々あります。
今回はそのお話です。
それはズバリ
「私(うちの会社)は、いくら借りられるのでしょうか?」
という質問です。
一見すると、「それは、いくら借りられるのかわからなければ予定がたたないよ」っていう感じもするでしょう。
しかし、考えてもみてください。
貸す側からすると、「いやいや、あなたがやろうとしている事業があって、そこから必要な資金がはじきだされるでしょう?そこでどれだけ借りる必要があるのかがでてくるはずでしょ!」という視点です。
もちろん、現実には、どれだけお金が調達できるのかで事業の方向性が変化することはあるでしょう。
しかし、本音と建前はある程度違う部分はあって、事業上の融資が必要なのは、なにかしらの事業計画があってそこからはじき出されるはずです。
「◉◉◉万円借りられるから、この事業をやる」では方向性が逆です。
確かに、それぞれの融資商品ごとに貸し出しの要件があり、融資の上限額があります。また、その要件に自己資金の条件があるケースもあります。
とはいえ、銀行側の最大の関心は「貸した金を返していけるのかどうか?」ですから、あなたのこれから展開するビジネスが、きちんと返済資金を生み出していけるのかどうか、がポイントになります。
ここからわかるのは、返せないレベルの貸付は実行されないということです。それ以外に、担保があるのかどうかという条件も影響を及ぼします。
簡易キャッシュフロー
どうやって、その「返せるのか」を判断するのかの詳細な方法は置いておきます(汗 ザックリ把握する方法があるのでそれをご紹介しておきます。
それは「簡易キャッシュフロー」をはじき出すことです。
算式としてはとってもシンプル。次のとおりです。
簡易キャッシュフロー = 税引後利益 + 減価償却費
返済できる原資として「税引後利益」がでてくるのは理解しやすいでしょう。でも、会計の考え方になれてないと、減価償却費を足し算していることがよく意味がわからないかもしれません。
減価償却費には、「キャッシュアウト(現金の支出)を伴わない経費」という、性質があることが理由です。会計の流れで計算される減価償却費は、経費なのにおカネの支出はないのです。経費になっているのに、キャッシュはでていなかないわけです。
そこで、この簡易キャッシュフローを用いると、どれだけ返済できるのかをザックと可視化できます。
前期末であなたの会社が税引後利益 500万円、減価償却費50万円だったとします。この簡易キャッシュフローは、「500万円+50万円」で550万円です。
本当にザックリですが、年間で最大550万円までならばイケるかも、、、という感じが見えてきます。
実際には、これ以外に損益計算書にどういう費用があがっているのかを検証して、プラスマイナスしてもうちょっと精密なキャッシュフローをみる必要もあります。
でも、ザックリ把握するのには、これでも目安にはなります。
本当は「いくらまでなら貸せます」と目安はもっている
この流れで、「銀行員は、資料をもらえばだいたいこのくらいまでなら貸せる」という目安を暗算でも計算はできるということがお分かりいただけかと思います。
しかし、それでも、実際にはあなたの事業がどういうことをやって、どれだけ資金が必要なのか、ということが大切なのです。
創業向けの判断の基準は計画が重要
ここで気がついた方もいるかもしれませんが、こういう「簡易キャッシュフロー」をすぐに出せるのは、過去の資料がある場合です。ようは、もうビジネスが走っている場合です。
すると、これからやるビジネスについてはどうやって考えるのでしょうか?
もちろん、銀行からすると「確実に返済できるのか」を判定しないといけない訳ですから、これまでと同様の視点をもっています。一方で、「これからの」「未来の」計画をベースに、この簡易キャッシュフローを判定していくしかないところもあります。
ということは、あなたの提出した計画がどれだけ根拠が明確で、信頼に足るモノなのかが重要になります。適当に数字を積み重ねたものでは無くて、ファクトベースで、堅実に将来を見据えた計画になっているのかを判定されます。
それと同時に、経営者自身も確認されるます。お金を貸し出す先が、計画書とそれを実行していく社長しかないわけですから、社長のキャラクタを含めた人物像というのはとても重要なポイントになります。
この点を考慮して、借入をする際の銀行との対応に活かしてください。