起業者は、会社設立の前に、事業ビジョンや事業計画書などを入念に練りながら作成し、ビジネスを成功させる戦略が明確になった上で、会社を設立しているものです。
事業計画書などには、初年度の売上高などの詳細計画を示すと同時に、数年間の事業予測を立てていることが一般的です。
その事業予測が不十分であれば、資金を集めることも難しくなるため、基本的には、長期計画まで十分に精査された後に、事業を立上げます。
余裕をもつことが、ステップアップの第一歩
しかしながら、起業直後は、資金に十分な余裕もなく、日々のビジネスの成否に一喜一憂する状態が続いてしまうことが多く、どうしてもビジネスを軌道に乗せることだけに注力してしまいがちです。
最初のビジネスを軌道に乗せなければ、次も、その次もありませんが、事業計画書で策定した緻密な戦略と細かい計画が、現実の数値と大きく乖離していなければ、自ずと計画の数値目標に近い数値が出せるというくらいの強い信念を持ち、少し結果が出てくるのを楽しみに待つくらいの余裕を持って構えておく姿勢も必要になります。
そのような余裕を持つことで、少し先のことを考えられるようになるからです。
そうすれば、長期計画に対しても、今の課題を加味し、軌道修正や方向修正を図ることができます。
それを繰り返すことで、次のビジネスの準備にも目を配ることができ、企業として着実なステップアップが期待できます。
長期構想の中で短期計画を組み立てるべし
起業者の中には、日々の勝負がとにかく重要で、日々の積み重ねが短期の計画達成につながり、長期的にも勝ち続けるという思想を重視している事例も見受けられますが、ビジネスを俯瞰的に捉えられない経営者は長続きしません。
そのため、短期の計画も長期の構想や計画を達成するための一歩であるという考え方で、可能な限り、長期的なスパンで計画が立てられる考え方を身につけるようにしましょう。
経営の神様と言われる、松下幸之助氏は、松下電器の経営を10年、10年、5年の25年を1節として、10節で250年という、とてつもなく壮大な構想を描いていたことは有名な話です。
そこまで描くことは不可能だとしても、現代の企業では、年間計画、3か年などの中期計画、そして10年スパンの長期計画を、社会に対して打ち出しています。
そういった長期の構想の中で、そのための短期計画を組み立て、日々の業務にまで落とし込むことができれば、会社の目指す方向性を、一人一人にまで理解させることができ、さらに、日々のビジネスに一喜一憂することなく、しっかりと構えた経営ができるようになるでしょう。