そして、勝てると判断した事業には、人、モノ、カネを充当して、競合他社から市場のシェアを奪い、事業を軌道に乗せる。
大小にかかわらず、どのようなビジネスでもおおよそ同じような競争が繰り広げられているものです。
その競争において重要なことは、当然のことながら事業戦略なのですが、その中でも、顧客のニーズを正確に掌握することが、非常に重要になります。
既にある市場に対して、新しい商品やサービスを提供してシェアを獲得していくためには、顧客が理想とするニーズがどういったものであるかを把握することも重要ですが、今の顧客だけでなく、今、その市場にいない顧客を取りこみ市場の規模や市場の対象を変えることも、また一つの戦略です。
一言に、顧客といっても、その階層は複数存在するものです。たとえば、固定客。
これは、自社商品、もしくは、既にある現有市場において、商品やサービスを確実に購入してくれる相手であり、他社よりも良い商品やサービスを提供すれば、非常に高い確率で購入を期待できる顧客層で、売上や利益を見込めると考えられる相手です。
この顧客層を獲得できれば、ビジネスに安定感を生み出すことができます。
次に、マーケティング上で可能性が高い顧客層は、見込客です。
見込客は、商品やサービスを知っていて、検討している段階の顧客層で、一般的に、新規でビジネスに参入する場合、この見込客をより多く囲い込めたら、業界での立ち位置が上がると考えられているようです。
ただし、この見込客を過度に期待して、投資をするなどはリスクがあるため、本当に見込みがある客層なのか、一見見込みがありそうだが、実際は購入しない顧客なのかは、しっかり見極めて、本当の意味での見込める客をしっかり搾りこむことが重要になります。
次に、狙う顧客層は、浮遊客です。
文字通り、あまり売上は見込めないものの、営業活動次第では、一気に取りこめることもあります。
一般的には、やや確率が低いため、新規参入する場合などは、この浮遊客をターゲットとして考えることは少なく、無視してしまいがちだが、こういった層は、少なくとも、見えている客層です。
そう考えると、ほんの一部が取りこめられればよく、こういった浮遊客の一部を切り崩すと、他の浮遊客も流れ込んでくる可能性があるため、浮遊客を取り組む工夫も考えてみることは忘れないようにしてもらいたいところです。
そして、最後に一番難しいのが、潜在客です。
これはマーケティングの調査段階でもほとんど表に出てこないため、なかなかターゲットに絞ることは難しいですが、現有市場から、ターゲットとする市場を少し違う視点で見ることで、一気に出てくる可能性のある顧客層です。
それらの顧客層それぞれにヒットするような市場の見極めと、他社とは一線を画したアプローチで、従来の延長線上にない市場開拓が、ビジネスでの勝負の分かれ目になると考え、より広い顧客層に対するマーケティングを行うことが、事業に成功するカギの一つであると思います。