経営者にとって、会社を経営していくにあたって、社会や社員に対して、確実に示さないといけないことは、まず、経営理念と経営方針です。
経営理念・経営方針とは?
経営理念とは、会社が社会に対して何をしていくのか、どういった貢献をしていくのかということを示した宣誓書であり、企業が存在するための価値を示した考え方や哲学です。
経営方針とは、その経営理念という目的に対し、どのような手段を用いて実現していくかという指針の提示です。
どんな規模の会社であれ、会社を経営していくには、経営理念と経営方針は必ず必要です。
たまに、自分たちがやりたいこと、達成したいことや理想の儲け方などを経営理念と謳っている企業が存在しますが、それは、ただのエゴです。
事業を運営する企業というものは、何かしら社会への貢献があって初めて世に存在を認められる企業です。
その信念を持って、将来会社が発展したとしても、経営理念が変わるようなことのない、経営哲学を確実に策定します。
この二つが策定されたら、その経営方針を具体的に示すことです。
これが事業計画書になります。
事業計画書の書き方のポイント
事業計画書の書き方としては、具体的に、どこに対して、誰が、どういう活動をすることによって、どの程度の売上を計上し、どの程度利益を確保できるかということをポイントとして策定します。
具体性をより明確にするため、ある期間やある組織単位で策定すべきです。
簡単にいえば、会社運営のマップのようなものです。
たとえば、会社としての年度の事業計画書の書き方では、1年後の決算報告書を作成するくらいの具体性を持ち、各職能の役割、経営数値目標、マイルストーンを明示します。
また同時に、将来数年にわたる運営計画の中での本年度の位置づけを示せると、より具体性が増します。
ポイントは、各部署の責任者がその事業計画書を見れば、各部署の業務計画や、個人の業務への落とし込みまで描けるマップでなければならないのです。
そして、最も重要なことは、その事業計画書が予定通りに進められた場合に、社会に対して、どういう貢献が実現できるかというところまで明確にする必要があります。
経営理念を具体的にどの程度実践できるのかということを、社会に対し、そして、社員に対し、お約束する契約書であるという意識で策定します。
事業計画書の重要性
年度末には、事業計画書と同じ決算報告書である必要があります。
誤差が大きいということは、社会や社員に対しての約束をきちんと果たせていないことを意味します。
それが、たとえ計画時より、増収増益の方向に誤ったとしても、誤差が大きいということは、事業計画書の精度が低いということを意味しており、社会への約束が非常に曖昧であることになります。
したがって、その企業が次年度にも事業計画書を策定したとしても、その数値に具体性はなく、利益をあげられるかもしれないし、赤字に陥るかもしれないという不安を露呈させることと同じだからです。
株式会社ともなれば、株主という投資家によって成り立っていますので、株主に対しての説明責任も発生します。
したがって、事業計画書は、運営方針の具体性はもちろんのこと、経営数値的に非常に高精度に仕上げることに最も注力して策定しなければならないのです。
小規模の企業などでは、経営者が事業計画書をきちんと策定しない場合も見受けられますが、社員に対する義務であると同時に、社会との契約書ですので、絶対に経営者だけでなく、幹部で良く精査した事業計画書を策定することをオススメします。
高精度の事業計画書を策定できる企業は、確実に発展していくことは間違いないからです。