何かのビジネスを行うために会社を設立する場合、必ず勝てるビジョンを描くと同時に、何かしらお客様や社会への貢献という大きなミッションを果たす必要があります。
会社としては、ビジネスで業界に参入し、競合他社に勝ち、利益をあげていくことが最も重要ですが、本来、それと同時に、誰かのお役立ちになり続けることが、会社として存続するための最低限の使命であるべきです。
しかしながら、起業時は、誰かのお役立ちになりたいという考えで会社を設立するということは少なく、ほとんどの場合、勝てる事業ビジョンを描いて、会社を設立する傾向にあります。
そのため、勝つための事業ビジョンについては、経営メンバー間で、比較的考え方が一致しているのですが、その先にあるべき誰かへのお役立ちに対するイメージは、あまり一致していないことが多いといえます。
言い換えれば、ビジネスの第一目的が、業界で勝つことであり、会社に大きな利益をもたらすこと、それが唯一の目的となってしまっていることが多いといえます。
経営理念の重要性
誰かのお役立ちになるという、いわゆる、経営理念の考え方を、起業時にきちんと認識し、経営理念を制定していれば、そういった経営メンバー間でのギャップはあまり発生しませんが、経営理念の考え方が浸透していなければ、会社として、利益確保の先の目的のイメージは見出すことができません。
ビジネスがうまくいっている時は、それでも何も問題は発生しませんが、一度、経営基盤が傾いた場合、会社がどこに向かうべきか、誰のために何をするべきかを明確にしなければ、立ち直らせることは容易ではありません。
そのため、経営メンバーは、起業時に、競合他社などに勝つという目的設定と同時に、その先の目的設定を忘れてはいけません。
そうするためには、起業時に、経営メンバーは、経営理念の重要性を理解し、何よりも優先的に制定する方向で検討することが望ましいと考えられます。
そうすれば、会社の状態に関係なく、経営ビジョンに基づいて経営メンバーの経営方針の方向性が一致しやすく、たとえ一致していなくてもすぐに修正することができ、結果的に長続きできる可能性があると考えられます。
会社設立時に、全員の経営ビジョンを一致させておく
経営理念の制定を軽視し、ビジネスでの利益や、競合他社との勝負だけを注視して事業をしていると、経営が傾いた時に、外部要因で崩れるというより、経営メンバー間での経営方針の衝突などで、会社の内部から崩壊していくリスクがあります。
外部の影響で経営が傾いた時は、経営幹部で一致団結してその状況を克服することができる可能性がありますが、内部から一度崩壊した場合、克服は困難です。
そのため、会社を設立する時には、経営メンバーは、利益の先の最終目的や経営ビジョンについて、しっかりと全員の意思を一致させておくことが、最も重要です。